[らいおんはーと 〜 小泉総理のメッセージ]

● 夏休みの思い出

 小泉純一郎です。

 子どもたちから「総理は夏休みに何をしていましたか」というメールをい
ただいた。

 子どもの頃は、夏休みになると毎日セミとりをした。朝起きると、まず、
クモの巣を探しに行く。竹竿に針金を丸くうちわのように結び、そこに張り
たてのクモの巣をつける。

 これだと、セミの羽を痛めないで捕れるからだ。

 夕方はさらに楽しみだ。セミの幼虫が土から出てくるのをじっと待つ。そ
れを捕まえて大きな木を入れたカゴに入れる。

 家に帰って、夜、眠いのを我慢して待っていると、茶色の幼虫がゆっくり
木に登り、次第に色が変わる。背中がぱっと割れて脱皮して羽が出てくる。

 白い羽が、時間が経つにつれて色が変わる。種類によっても違う。朝には
アブラゼミは茶色に、ミンミンゼミだと白いまま。とても神秘的だった。

 近くの川辺でトンボとりもした。オニヤンマは、子どものあこがれの的。
竹竿の先に大きい布の袋を付けて、飛んでいるのを捕る。トンボもヤゴ(幼虫)の
脱皮が面白い。

 今思えば、小さいときから、脱皮とか変身とか、変わるのが好きなのかも
しれない。官邸の執務室で聴こえてくるセミの声に、こどもの頃を思い出した。

 この夏はあつい。構造改革の具体化に向け、平成14年度の予算編成に向
けての大枠を示していくための夏だ。

 この予算では、「国債発行30兆円以下」と「聖域なき見直しで5兆円を
削減する一方、重点分野は2兆円を増やすこと」を目標としている。重点分
野はIT、都市再生、環境、少子・高齢化、教育、科学技術及び地方の
活性化の7分野だ。

 今日(9日)の経済財政諮問会議と明日(10日)の閣議で、概算要求の
具体的な考え方を決定することにしている。これによりメリハリのある
予算編成をしていきたい。

 セミ時雨に改革への思いをたぎらせていく。構造改革には、とまどいも痛
みもあるだろう。大きく成長し、勇躍していくために必要な一歩だと思う。

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